身近にあふれている人工言語
今回の動画では、皆さんに国際語(世界共通語)をご紹介しました。「国際語って何?」「Lingua Francaって?」「どんな言語が世界共通語になるの?」「なんで英語がこんなに大きくなったの?」「これからの英語はどうなるの?」などといった課題に簡単ではありますが迫ってみました。
国際語とは何かを追求していく中で「人工言語」についても触れ、現存する人工言語の中で最も有名な二つを紹介しました。それはEsperanto(エスペラント語)とVolapük(ヴォラピュク)です。もちろん、人工言語はこれだけではありません。折角なので、ここでは動画でご紹介しきれなかった人工言語をいくつかご紹介したいと思います。
Ido(イド語):Idoはエスペラント語とヴォラピュクの次に最も使われている人工言語です(ヴォラピュクを上回るとの統計もあります)。このイド語の基になっているのは、他でもなくエスペラント語です。1907年に「改善されたエスペラント語」として発表されました。この言語を創ったのはフランス語の国際補助語協会です。エスペラント語と非常に似ているため、エスペラント語の方言として扱う人も多いです。
例文:Mi ne havas libro(私は本を持っていない)→ エスペラント語:Mi ne havas libron
Toki Pona(トキポナ):Toki Ponaとは「良い言語」という意味で、カナダ人の言語学者であるSonja Langによって創られました。初めて世に出たのは2001年ですが、完成したのは2014年です。非常にシンプルで、語幹が120、音素が14しかありません。この言語を創る動機は哲学かつ心理学的で、よりシンプルな共通語を使えば世界も平和で幸せになると、Sonja Langは考えていました(自身の鬱病治療にも役立ちました)。
例文:tenpo ni la mi lape(今私は寝ている)
Lingwa de Planeta(地球同語):Lingwa de Planetaは2010年にロシアで創られた言語です。世界で最も使われている言語(中国語、スペイン語、英語、アラビア語など… )を混ぜたまさに文字通りの国際語です。
例文:Me vidi mucho kinda(私はたくさんの子供を見ている)
世界の最も大事な人工言語を話者数で並べてみると、「エスペラント語(圧倒的)→ヴォラピュク→イド語→地球同語→トキポナ」となります。
しかし、人工言語は「中立的な世界共通語」として創られるだけではなく、ただの芸術的な架空の言語として創られる場合も少なくありません。例えば、小説や映画で登場する言語です。これらは、複雑かつ完璧すぎるものが多く、もはや一つの言語として扱われるようになるのです。実際には共通語として使うために創られていない言語なので、習得するにはかなり複雑です。それでは三つの空想人工言語をご紹介しましょう。
Klingon(クリンゴン語):Klingonはスタートレックシリーズでクリンゴン人が使う言語です。空想人工言語の中で、最も勉強されている言語です。宇宙人が喋る言語という設定なので、発音も文法もかなり複雑で分かりにくいです。Klingonを完璧に話せる人は100人もいないと言われています。
例文:tlhIngan Hol Dajatlhʼaʼ?(クリンゴン語が喋れますか?)
高地のヴァリリア語:高地のヴァリリア語は「氷と炎の歌」という小説に出てくる言語です。「ゲーム・オブ・スローンズ」の名でドラマ化され、一気に有名になりました。ドラマの人気に乗じて、現在勉強している人もかなり多いです。高地のヴァリリア語は小説内の架空の語族、ヴァリリア語群の言語の一つです。話し言葉としてあまり使われない、文化的地位を占めている言語です。格変化が多く、時制も複雑、形容詞の種類も多く、発音も難しい。こんなに難しい言語であるにも関わらず、話者は年々増えています。
例文:Valyrio muño ēngos ñuhys issa.(ヴァリリア語は私の母語です)
Quenya(クウェンヤ):「ホビットの冒険」や「指輪物語」、「シルマリルの物語」などで有名なJ・R・R・トールキンが創った言語(15以上もある)の中でsindarin(シンダール語)と共に最も完成度の高い言語です。忘れてはならないのは、トールキンはもともとオクスフォード大学を卒業し、オクスフォード大学で教師を務めていた天才的な言語学者ということです。「執筆した物語は自分が創った言語を活かすための道具にすぎない」と言われているほどです。大学生の時に、フィンランド語やゴート語、ケルト語などに魅了され、その影響はクウェンヤ語でもよく見られます。物語の設定では、多くのエルフがこのQuenyaを使用しています。古典、口語、丁寧語、現代語と使い分けがたくさんあり、かなり複雑で、自然語よりもリアルだと言えるこの言語はその難しさと関係なく、たくさんのファンによって勉強されています。
例文:Utúlie’n aurë!(その日が来た!)
(Quenyaはローマ字で表記することも出来ますが、実際には別の文字を使用しています。)
いかがだったでしょうか?世界を結ぶために創られる人工的な世界補助語もたくさんありますが、架空の話をより豊かにするための人工言語もたくさんありますね。気になる言語がありましたか?どの人工言語もインターネットで検索するとすぐ出てくるので、色々なサイトを通じて勉強することができます。
まずは習得しやすい人工言語、エスペラント語に触れてみませんか?
では、次の投稿、もしくはレッスンでまたお会いしましょう!
ご質問等ありましたら是非お問い合わせください!